2019-04-01から1日間の記事一覧

7話:機を見るに敏なり

半刻後陽が沈むと、皇甫嵩は城門の上部にある矢倉の上から穎川の地を見ていた。本来ならここには数人の兵士が物見として配置されているのだが、皇甫嵩はこれに休むように言い渡し、一人で番をしているのである。 「……はぁ」 空気はかなり冷え込んでいる。憂…

6話:黄巾蜂起

小高い丘の上から見下ろした戦場は、辺り一面が赤く染まり、屍山血河を築いている。此方側へと吹いて来る風が丘を登って血の匂いを運んでくるような気さえしてくるほどだ。 ここに大規模な陣が敷かれている。一際大きな天幕の中に、長身痩躯の男性がいた。天…